そして今では、当時斬新な設定といわれていた「AIの脅威」さえ現実になりつつある。
タイムトラベルのコンセプトも、この28年の間に、さんざんいろんな形で見せられてきて、
もはや新鮮味はない(つい最近も『アベンジャーズ』で同じコンセプトが扱われていた)。

さらに、28年前は、中国をはじめとする新興の映画市場が存在しなかった。

新興国の観客は『ターミネーター』を最近の作品、すなわち、あまりよくない作品で知るようになっている。
新3部作の第1部のつもりがコケたせいで次回作の計画が頓挫した『新起動/ジェニシス』を見せられた後に、
また新たなターミネーターが来ると聞いて、興奮しろというほうが無理な話だ。

実際、『新起動/ジェニシス』を最悪の事態から救ってくれた中国の観客さえ、『ニュー・フェイト』には見向きもしなかった。


連発される「続編」&「リブート」

同じように、今月は、『シャイニング』(1980年)の続編『ドクター・スリープ』と、
16年ぶりにリブートされた『チャーリーズ・エンジェル』が興行成績において撃沈している。

『ドクター・スリープ』が今作られたのは、スティーブン・キングが同名の原作小説を出版したのが2013年だという事情がある。
しかし、『チャーリーズ・エンジェル』を、今わざわざ、しかも10代の女の子たちに向けてリブートしたという判断には首をかしげざるをえない。

そもそも、『チャーリーズ・エンジェル』の元ネタは1970年代のテレビドラマで、思い入れがあるのはその時代を生きた世代だ。
2000年と2003年にはキャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リュー主演の映画が公開されたが、
それも今の10代の子たちにとってはママ世代の映画で、ブランドバリューはまるでない。