GSOMIA維持も、米国は「韓国は今後も中国に接近」と予測 もう収まらない怒り
■米韓同盟を人質にした韓国
鈴置: 極めて興味深い記事がワシントン・ポスト(WP)に載りました。「The 66-year
alliance between the U.S. and South Korea is in deep trouble」(11月23日)で、
「韓国は日韓GSOMIAを維持したが、米韓同盟は揺れ続ける」と分析したのです。
アーミテージ(Richard Armitage)元米国務副長官と、元米NSCアジア部長のチャ
(Victor Cha)ジョージタウン大学教授の共同論文です。2人とも米国を代表する
アジア安保の専門家です。
この論文は、米日韓のインテリジェンス共有体制を終了するとの決定を文在寅政権が
延期したのは賢明だった、と一応は評価しました。
ただ、ポイントはそこにはありませんでした。「GSOMIA破棄」という韓国の行動が、
米韓同盟を毀損したと厳しく非難したのです。(略)
■空自だけがB52を護衛、韓国空軍の姿なし
――アーミテージ氏やチャ氏は韓国保守の困惑が分かっているのでしょうか?
鈴置: 2人とも専門家ですから、反米運動を激化させると分かったうえで強硬な姿勢を
打ち出したと思います。(略)
そんな経験からすると、この共同論文は韓国の左派ではなく、保守に対し「しっかりしろ。
一緒に中国と戦う覚悟を見せよ」と通告したと思えるのです。
韓国がGSOMIAで決断を迫られた最後の日、11月22日にグアムから飛来した米国の爆撃機、
B52が日本海を飛行しました。一部の空域では、航空自衛隊のF15が編隊を組みました。
B52が朝鮮半島付近まで北上する際は、日韓の戦闘機が空域別にエスコートするのが
普通でした。しかし、今回は韓国の戦闘機は出動しませんでした。
これを報じた朝鮮日報の「GSOMIA最後の日、B52は日本の航空自衛隊の護衛を受け東海を
飛行」(11月25日、韓国語版)は「韓米日の軍事協力体制が崩れても、米日協力には支障が
ないことを北朝鮮・中国・ロシアに示した」と解説しました。
確かに、その狙いもあるでしょう。でも、アーミテージ・チャ論文を読むと「日米の
軍事協力に支障がない」ことを一番見せつけたかった相手は、韓国ではないかと思うのです。
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/11261631/