ひき逃げ許さぬ 専従捜査班「HIT」発足から13年 検挙率2・5倍に 大阪府警
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ひき逃げ事件が全国最多の大阪府で、府警が専従捜査班「HIT(ヒット)」を設置して摘発に力を入れている。英語でひき逃げをヒット・アンド・ランと呼ぶことから名付けられた。
重傷ひき逃げ事件を対象に、経験豊富な捜査員5人が捜査を指揮する「スペシャリスト集団」だ。
発足から13年で検挙率は2・5倍に向上したが、悪質なひき逃げは後を絶たない。「わずかな痕跡も見逃さない」という捜査班の取り組みを追った。【安元久美子】
◇全国の14%集中
府警によると、昨年、府内で発生したひき逃げ事件は1183件。全国の約14%が集中し、13件では被害者が命を落とした。
専従班「HIT」が作られたのは2006年。前年の検挙率が28・6%と低迷し、署員の捜査能力の引き上げが目的だった。指導効果もあって今年8月末の検挙率は71・6%まで向上した。
リーダーの中田和孝警部(58)には忘れられない事件がある。08年10月21日未明、大阪市北区のJR大阪駅前の路上で、男性会社員(当時30歳)が車にはねられ、約2・9キロ引きずられて死亡する事件が起きた。
「黒っぽいワゴン車」という目撃情報があったが、他に目撃者は少なく、中田警部らは路上の血痕をたどって周辺の防犯カメラの映像を集めた。
映像を分析して逃走範囲を絞り、似たような車を1台ずつ確認した。11日後、此花区内で黒いワゴン車を発見。車体の底に傷があり、中田警部は「動かぬ証拠に捜査員全員の鳥肌が立った」と話す。
府警は11月4日、20代の男を殺人などの疑いで逮捕した。