北朝鮮は、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領から親書を受け取り、
来週プサン(釜山)で開かれる特別首脳会議への出席を要請されたと明らかにする一方「訪問する合理的な理由は見つからない」として、出席は見送る考えを示しました。
韓国南部のプサンで、来週25日から韓国とASEAN=東南アジア諸国連合の特別首脳会議が開催されます。
この首脳会議について、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は、キム・ジョンウン委員長が今月5日、ムン・ジェイン大統領から親書を受け取り、出席を要請されていたと明らかにしました。
この中で「警護と儀典など、あらゆるもてなしの準備を最高の水準で整えていることを知らないわけではない」とした一方、
韓国のキム・ヨンチョル統一相がアメリカを訪問していることについて「アメリカに物乞いに行った。
すべての問題を民族どうしの協力ではなく、外部勢力に依存して解決しようという誤った立場から抜け出せないでいる」と批判しました。
そのうえで「期待と誠意はありがたいが、キム委員長がプサンを訪問する合理的な理由は見つからない」として、出席は見送るとしています。
北朝鮮は、韓国がアメリカの立場を考慮して、景勝地クムガン山の観光事業など、南北の共同事業を再開しないことに反発していて、
出席を見送った背景には、韓国への根強い不信感があるものとみられます。

韓国大統領府「非常に残念に思う」
北朝鮮が来週、韓国のプサンで開かれる特別首脳会議へのキム委員長の出席を見送る考えを示したことについて、韓国大統領府の報道官は「非常に残念に思う」とコメントしました。
また親書は10月、ムン大統領の母親が亡くなったことを受けてキム委員長が送った弔電への返信で、11月5日に送ったことを明らかにしたうえで、
この中でムン大統領は「キム委員長が出席すれば、朝鮮半島の平和定着に向けた南北の努力に対する国際社会の支持を広げるのに役立つ」と呼びかけたということです。

そのうえで韓国政府としては「南北の首脳が考え得るすべての機会に顔を合わせ、南北間の協力と朝鮮半島の平和定着に向けて、
国際社会の理解と支持を得る努力をする必要があるという立場に変わりはない」と強調しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191121/k10012185821000.html