大嘗祭(だいじょうさい)で全国から寄せられた特産品「庭積(にわづみ)の机代物(つくえしろもの)」には、沖縄県在来の希少な粟(あわ)が含まれている。
数年前に生産が途絶えそうになったところを、石垣市で農業を営む女優、吉本多香美(たかみ)さん(48)と地域の同志が種を受け継ぎ、復活させた。
吉本さんは「粟を捧げ、収穫に感謝する祈りは琉球も大和も同じ。消えかけた粟の種を繋(つな)ぐことができてよかった」と語る。
沖縄在来種の粟は近年食べる目的ではなく祭祀のためだけに使われてきたが、生産者が高齢となり、約5年前に栽培が途絶えた。
「何千年も続いてきた琉球の粟を未来につなげたい」と、沖縄雑穀生産者組合に所属する農家が2年前に栽培を再開。
趣旨に共感した吉本さんも、地域の耕作仲間らと、今年2月から自身の畑で無農薬で育て、7月に収穫した。大嘗祭に加え、石垣島や西表島の神事にも、この粟が使われるようになったという。
「穀物を育てていると、自然の中で自分が生かされていることを実感する」と話す吉本さん。
「縄文時代から受け継がれてきた粟が、今も大嘗祭や沖縄の島の祈りに使われていることを知ってもらうきっかけになれば」と話している。
https://www.sankei.com/life/news/191114/lif1911140052-n1.html
大嘗祭の供え物「庭積の机代物」として納められた沖縄在来種の粟。女優の吉本多香美さん(左)が地域の耕作仲間らと育てた(吉本さん提供)
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