今井、柚木…「欠陥議員」を生む比例復活制度は見直しを
2019年11月05日 06:01
新田 哲史

森ゆうこ氏の質問騒動の「ツイート時刻」取り違えが発覚してから10日余り。森氏の質問内容を「高橋洋一氏が
事前に知っていた」などとして、国会質問で取り上げた今井雅人、柚木道義の両衆議院議員(ともに立憲民主党会派)らは
この3連休まで(少なくとも対外的には)誤りを認めなかった。

あらためて確認するが、これは野党側が追及している原氏の問題の中身そのものとは関係ない。話題がなんであれ、
事実誤認に基づいた質問で明白な誤りを指摘されているのだから、もしまだ議事録削除の手続きにも入っていないのであれば、
2人が所属している野党統一会派の執行部が確認した上で議事録から削除させるべき問題である。

しかし、どちらせよ、騒ぎを起こした今井、柚木両氏本人の対応が最終的に問われる。これだけの「から騒ぎ」を
起こし、国会真偽の貴重な時間を浪費しておきながら、両氏は、被害者である原英史氏や高橋洋一氏、
あるいは意味不明の追及をした相手の北村規制改革担当相、そして何よりも今井、柚木両氏の議員活動費を
負担している国民に全くお詫びをしていない。

もはや「憲政史上最低 最悪の開き直り」だとしか思えない。政党と国会議員、国民の関係を、企業と商品、
消費者に置き換えれば、なんという欠陥商品を押しつけられたのだろうか。

しかし、よく考えてみれば当たり前だ。今井氏、柚木氏ともに小選挙区では落選し続けている「欠陥商品」なのだ。
柚木氏は当選5回だが、選挙区当選したのは、2005、09年の2回だけで、その後の12、14、17年は自民党の
橋本岳氏の後塵を拝してすべて比例からの復活当選。今井氏に至っては、2009年の初当選からの4回すべてが比例復活だ。

比例復活当選は、1996年の小選挙区制移行に伴って導入された「小選挙区比例代表並立制」によるものだ。
小選挙区制を完全に実施すると、1人しか当選しなくなるため、僅差で敗れた候補者への「死に票」が
続出することになる。その救済策として、選挙区と比例区の重複立候補を可能とした。しかし、比例復活する
候補者について、地域ごとに議員1人あたりの有権者数の多寡があるなどの問題点が指摘されて久しい。

もちろん、どの選挙制度にも完璧はない。筆者は小選挙区論者だが、「死に票」救済のために並立制は仕方ない面も
ある。しかし、制度導入から四半世紀近く。制度導入時は、どのような議員が誕生するかまでは
想定しきれなかったであろうが、現行ルールだと、政党公認で重複立候補し、惜敗率などの条件を達成すれば、
選挙区でどこまで負け続けても衆議院議員のバッジを得ることが可能だ。

特にいまのように政権交代の可能性がゼロに等しい野党最弱のご時世だと、野党議員が比例復活し続けることで、
55年体制下の中選挙区選出と同じような効果を生む。つまり野党の復活議員は「選挙区でも当選しなくていいや」
という甘えになる。それが突き進んで昨今は「どうせ政権交代なんかないんだから、中身は問わずに与党を
disりまくって選挙民にアピールすれば次も当選圏に入るだろう」という万年野党気質につながっているのではないか。

以下ソース
http://agora-web.jp/archives/2042494.html