未知の地震を発見 震源は巨大な嵐、大陸揺らす
2019/11/4
(中略)
驚いたことに、この振動には季節性があり、5月から8月にかけては
一度も発生していなかった。しかし、地殻変動で発生する地震は、
通常は季節の移り変わりとは無関係だ。
さらに、奇妙な振動は北米大陸の東西の海岸線から広がっていた。
通常の地震は、西海岸にクモの巣状に走る断層に沿って発生するが、
東海岸には震源になるような断層はほとんどない。
不思議に思ったファン氏らは、モデルを使って何が起きているかを探ったところ、
ある関連に気が付いた。こうした振動の多くは、大型の嵐やハリケーンと
同時に発生していたのだ。
研究チームは、北米大陸の地震観測プログラムEarthScopeの一環として
米国全土に数百台の地震計を設置しているUSArrayのデータを分析したところ、
2006年から2015年までの間に1万4077回のストームクエイクを発見した。
しかし、大きくて強烈な嵐が必ずしもストームクエイクを引き起こすわけではない。
例えば、場所によっては風速40メートルを記録したハリケーン「サンディー」
の際にはシグナルは記録されなかった。
ストームクエイクを引き起こすには、特定の地形が関係しているようだ。
例えば、ストームクエイクは大陸棚(大陸周辺の浅い海底)の幅の広いところで発生している。
ファン氏は、この地形が波を変化させるのだろうと説明する。
風が作り出す海の波は、ストームクエイクの20〜50ヘルツより高い周波数のシグナルを生成する。
けれども幅の広い大陸棚と波との相互作用によって、より波長が長く、周波数の低い波ができるのだ。
ストームクエイクは、海底が小さく隆起した堆(たい)の周辺でしか発生しないようだ。
堆はエネルギーの集中を引き起こし、波からの圧力が海底に伝わると、
爆発的な揺れが生じるのだ。ファン氏はこれを、ハンマーで海を叩くようなものだと説明する。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO51301850T21C19A0000000/