9月19日の千葉地裁松戸支部判決は、久保田氏の提訴が「裁判制度の目的に照らして著しく相当性を欠く」と指摘。裁判制度を悪用したとして、久保田氏に約75万円の支払いを命じた。
一方、久保田氏が原告の訴訟は請求棄却。ちだいさんの勝訴となった。

判決は、立花氏が5月に動画投稿サイトで「この裁判は、勝ってちだい君からお金をもらうためでなく、経済的ダメージを与えるためのスラップ訴訟だ」と発言したことも踏まえていた。

▽代引きで届く食品・グッズ

判決後に記者会見したちだいさんは「批判した人をどんどん裁判で訴えていくのでは、議論ができなくなってしまう。民主主義を守れなくなる」と訴えた。
勝訴はしたものの、60万円超の費用負担も強いられ、取材経費が圧迫された。

動画投稿サイトでは本名や住所が特定できる情報をさらされた。その後、自宅には段ボール約20箱分にも上るパンフレットのほか、代金引換でアダルトグッズ、生鮮食品などが連日のように送りつけられる。
インターホンが鳴るたび、家族も不安を感じている。

「訴訟を恐れて謝罪し、黙ってはいけないと思った」。
だから提訴後もN国の記事を書き続けてきた。「裁判を起こされ、ネット上でうそつきよばわりされたが、判決が出て安心した。今後も批判を続けたい」と決意する。

一方、久保田氏は判決を不服として控訴した。

立花氏は9月27日、定例の記者会見で、自身が動画投稿サイトでスラップと発言したことについて「嫌がらせではない。世間の注目を集めるために言った」と述べた。

専修大の内藤光博教授(憲法学)は今回の訴訟を「明らかなスラップだ」と指摘する。
「少数者や反対派を黙らせる目的で、力関係に圧倒的に差があるのに、私人と対等のように権利を主張している。言論弾圧につながり、非常に問題だ」

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