ことし1月、首都圏で幅広く有料老人ホームを展開していた介護事業者が倒産し、およそ400人の利用者が入居時に支払った「前払い金」が、
ほとんど返還されない事態となりました。こうした場合に備える業界団体の保証制度がありますが、要件が厳しすぎて機能しなかったことから、
団体と国は、今後、要件を緩和し保証の対象を広げる方向で制度を見直すことになりました。
全国の2200余りの有料老人ホームでは、入居契約の際に一定期間分の家賃などを一括で前払いするとのちのち月々の負担が軽くなるプランを設けています。
この「前払い金」は、数十万円から時には1億円を超えるケースもあり、「全国有料老人ホーム協会」では施設の倒産によって返還されない場合などに最大500万円の保証金を支払う制度を設けています。
しかし、ことし1月、首都圏で幅広く有料老人ホームを展開していた「未来設計」が倒産したケースでは、28の施設のうち27の施設の利用者が保証の対象になりませんでした。
親会社が施設の運営を引き継いだため、「施設の入居者すべてが退去せざるをえない」という要件に合わなかったことが原因で、入居者の生活が守られた一方、
退去したり亡くなったりした人の前払い金の被害が拡大する形となりました。
このため、協会と厚生労働省はこのままでは利用者保護のためのセーフティーネットとして不十分だとして、同じような事態が再び起きないよう、
今後、「全員退去」の要件を緩和し、保証の対象を広げる方向で制度を見直すことになりました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191011/k10012123281000.html