この度、アイルランドのダブリンで開催された合成生物学に関する展覧会において、人間の「へそのゴマ」から採取したバクテリアを用いて作ったチーズが展示され、話題となっている。
展示されたチーズの見た目は、普通のチーズと何ら変わらないようだ。
しかし、それらのチーズを作る過程において科学者たちが試みた、香りについての分析とその結果が「薄々考えてはいたけれど……やっぱりそうか!」と人々にさらなる驚きを与えることとなった。
アメリカ人の合成生物学者クリスティーナ・アガパキス博士と、ノルウェー人の香気専門家シセル・トラース氏が、今回の『セルフ・メイド』プロジェクトの研究成果について語った内容を以下で紹介しよう。
2人によると、(物質を成分ごとに分離し着色する)クロマトグラフィー分析の結果、「人間の『へそのゴマ』から採取されたバクテリアを用いて作ったチーズは、
その提供者の『ヘソのゴマ』と同様の香り分子を持っている」ことが判明した。
つまり、ある人の「ヘソのゴマ」で作ったチーズは、その人の「へそのゴマ」と同じ臭いになることが判明したのだ。
画像は、アガパキス博士公式HPより。ゴマのサンプル
さらに科学者たちは、チーズの香りが人の足の臭いなどに例えられる時、そこには何か関連があるに違いないと考え、分析を進めた結果、より衝撃的な事実を発見する。
「チーズの香りが、『へそのゴマ』や足など、人体の部位の臭いに例えられる時、そのチーズと人体の部位は、同類の香り分子を持っているだけでなく、同類のバクテリアまでも持っている」ことが判明したというのだ。
アガパキス博士は、「科学的に同じ成分であるにもかかわらず、人々は強烈な香りのチーズと足の臭いに対して、明らかに異なった反応を示します」などと当たり前のことも語っている。
また、今回の研究について「誰も私のチーズなど食べないでしょう。しかし私はこのチーズが、私たちの体とバクテリアの関係について考える、新たなきっかけとなってほしいのです」と研究の意図を明らかにした。
さて、このチーズが食卓に上る日はやってくるのだろうか?
https://news.infoseek.co.jp/article/tocana_32262/