ヒトの胎盤内から黒色炭素粒子を検出、大気汚染が影響か 研究
2019年9月18日 14:05
【9月18日 AFP】自動車の排ガスや石炭火力発電などから主に排出される
黒色炭素(ブラックカーボン)粒子が、胎盤の胎児に面している側である
「胎児面」から検出されたとの研究論文が17日、発表された。
英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に
掲載された論文によると、日常生活で大気汚染物質に最も多くさらされていた女性の
胎盤から検出された黒色炭素粒子濃度が最も高かった。
論文の執筆者らは、「今回の研究は、大気汚染由来の黒色炭素粒子が
ヒト胎盤内に存在することを示す有力な証拠となった」と述べている。
さらに「幼少期以降の汚染が健康に有害な影響を与えることについての信ぴょう性のある説明」
にもなるという。
大気汚染は子どもの健康に破壊的な影響を及ぼす恐れがあることが知られている。
最大のリスクは低出生体重で、これにより糖尿病、ぜんそく、脳卒中、
心臓病やその他多数の病気の発症率が高まる。
だが、大気汚染がこのような脅威を新生児に及ぼす仕組みと理由については
生物学的な説明がされておらず、医師の間で長年謎となっていた。
ベルギー・ハッセルト大学(Hasselt University)のティム・ナウロ(Tim Nawrot)氏率いる
研究チームは「黒色炭素粒子が母親の肺から胎盤に移動できる」と仮定。
高解像度撮像装置で、正期産23例と早産5例の胎盤を調べた。
その結果、平均濃度1立方メートル当たり2.42マイクログラムの黒色炭素粒子にさらされていた
女性10人は、その4分の1の濃度の黒色炭素粒子にさらされていた女性10人に比べて、
胎盤内の粒子濃度が著しく高いことが明らかになった。
(後略)
https://www.afpbb.com/articles/-/3245054