アメリカでこのほど、女性器の感染症対策の一環として、女性器の分泌液の移植プログラムが考案された。近く、ドナー(提供者)の募集が始まるという。
ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームによると、他人の分泌液から健康な細菌を移植することで、細菌性膣炎(BV)の感染を防ぐことができる。
欧米では大便から腸内細菌を移植する便微生物移植が始まっており、研究チームはここから発想を得たと説明している。
BVは抗生物質で治療可能だが、繰り返しかかる患者が多い。
■BVとは? なぜ起こる?
<省略>
■細菌のバランス
<省略>
■移植でどう変わる?
研究チームはBV患者への移植の準備に向け、適切なドナーの条件を模索してきた。すでにアメリカ食品医薬品局(FDA)から認可を得ているため、近く募集を始められると期待している。
学術誌「Frontiers in Cellular and Infection Microbiology」に発表された論文によると、研究チームは20人のボランティアを募り、「理想的な」ドナーの条件を調査した。
その結果、ラクトバチルス・クリスパタスと呼ばれる細菌が多いほど、分泌液が保護力の高い乳酸を持ち、pHも低く保たれることが分かった。
ドナーとなるには、サンプル採取の30日前から性交渉が禁じられる。また、サンプルはHIVを含むあらゆる感染症のスクリーニングを受ける必要がある。
研究チームの一員であるローラ・エンザイン博士は、「移植する分泌液は、ドナー自身で採取してもらう。その方が受け入れられやすい」と話した。
■「採取は簡単」
ドナーとなった女性は、生理カップやペッサリーのようなプラスチック製の円盤を挿入してサンプルを採取する。
エンザイン博士は「簡単かつ手早く、この1回で移植に十分なサンプルが採取できる」と話した。
一方、移植するサンプルはアプリケーターに入れられ、患者はタンポンと同様の方法でこれを挿入して移植を行う。
エンザイン博士によると、「資金が確保できればすぐに始められる」という。
「研究に参加してくれたドナーの数人が、移植プログラムに参加したいと言っている」
「まずは40人に移植するところから始める予定だ。実際に移植を受ける人と、偽薬を受け取る人がいるが、どちらにもBV治療のための抗生物質を投与する」
https://www.bbc.com/japanese/49658857