夏になると、われわれの血液を求めて不快な羽音とともに近寄ってくる蚊。服の上からでも
お構いなしに狙われるような蚊に刺されやすい人なら、皮膚をかきむしりながら地球上の
蚊の絶滅を願ってやまないだろう。
だが実のところ、人間の血を吸うのは約3,500種いる蚊のうちほんの200種ほどだという。
しかも血を吸うのは産卵するメスだけであり、オスは花の蜜などを餌としているため無害なのである。
こうしたなかでも世界中で見られるヒトスジシマカ(Aedes albopictus)は、デング熱やジカ熱、
チクングニア熱などのウイルスを媒介するため、公衆衛生上の重大な脅威として知られている。
日本でも問題となったデング熱を含む蚊媒介ウイルスは、一般的にワクチンも効果的な薬物治療も
ほとんどない。このため抑制するには、媒介となる蚊の集団を減らすことが主な手段となっている。
学術誌「Nature」で7月17日付で発表された論文では、ボルバキアと呼ばれる細菌と放射線の
“合わせ技”により、ヤブ蚊の一種であるヒトスジシマカを94パーセントも激減させられることが
できたと報告している。この結果から、多くの病気を媒介するヒトスジシマカを完全に根絶できる
可能性に期待が高まっている。
しかし、この種の蚊の根絶は、生態系に甚大な影響を及ぼさないのだろうか?
『WIRED』日本版は、そんな素朴な疑問を専門家にぶつけてみた。
https://wired.jp/2019/07/30/incompatible-and-sterile-insect-techniques-combined-eliminate-mosquitoes/