集める人 #01 片渕須直(映画監督):「零戦の機体」
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第二次世界大戦期の広島県呉市を描いたアニメーション映画『この世界の片隅に』。
その監督を務めた片渕須直さんは、実は航空史の研究家としても知られています。しかも最近、ガダルカナル島で見つかった日本軍の戦闘機「零戦」の残骸を入手したのだとか。片渕監督が語る“当時のモノ”への想い、伺ってきました。
(編集/メルカリマガジン編集部、撮影/高橋奈水子、機体写真/木下拓海)
この連載「集める人」は、さまざまなモノを集めている方に会いに行き、その想いや情熱をお伺いするシリーズです。
零戦は、本当は何色だったのか?
第二次世界大戦中に飛んでいた、日本を代表する飛行機「零戦」。三菱重工と中島飛行機(現SUBARU)で生産され、旧日本海軍の主力として戦った戦闘機です。
2018年、ガダルカナル島のジャングルで見つかった零戦の残骸、製造番号「三菱2666号」を片渕監督の所属事務所で購入。
現在は千葉県松戸市の航空史研究家・中村泰三さんの個人宅で保管し、月に一度一般公開もしています。
それにしても縦横数メートルにも及ぶこの残骸を、なぜ手に入れようと思ったのでしょうか?
「零戦の色って、何色なのかずっと曖昧だったんですよ。たくさん作られて、たくさんの人に見られてたはずなのに、ある人は『色みを帯びないグレー(灰色)だった』、ある人は『グリーンっぽいグレー(灰緑色)だった』、またある人は『どちらもあった』と言うんです。
人の言葉や記憶の上では、零戦が本当は何色だったのかが明確な形で残ってこなかったんですね。さらに『飴色だった』と言う人まで出てきて混乱していました」
仏像や土器とは違って、零戦が空を飛んでいたのはたそういうかだか70数年前の話。しかし、それでも人の記憶は曖昧になってしまうようです。そういう意味で、これだけ鮮明な色が残っている残骸は大変貴重なんだとか。
「僕は、飛行機に塗られていた“塗料”に興味を持っています。塗料の材料や、塗料メーカー、工業規格、産業全体におよぶまでに興味を広げることで、見えてくるものも大きいです」
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