日韓のゲームに新たな変数が添えられた。「日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」をめぐって
韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長は先日、
「状況を見て、日本との情報共有を継続するか否かを判断する」とコメントした。
これを日本の対韓輸出規制に対する韓国側の新たな取引材料と読み解く人もいれば、
日韓の軍事情報協力の「寿命」が尽きつつあると分析する人もいる。
だが、韓国がつるした「ダモクレスの剣(常に危険が迫っている状態のこと)」を
日本に落とせるかどうかというとそれには多くの変数が存在し、難度は高い。
なぜなら日韓の今回の関係悪化は米国のアジア太平洋戦略に波及してしまったからだ。
日韓の矛盾のエスカレートを見て米国のスティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)が訪韓したが、
調停役としての明確な成果は示されなかった。
ボルトン米大統領補佐官は23日に日本と韓国を訪れ、アジア太平洋地域における
米国の「2台の馬車」と呼べる日韓の関係調整を行う見通しだ。
両国は米国の2国間安全保障関係上の重要な盟友というだけでなく、
米国がアジア太平洋地域を「運営」する上での重要な駒でもある。
日韓による支えがなければ、米国は東アジアの安全保障構造、戦略協力のいずれも語りようがないとすら言える。
わざわざ出向いて仲介役を務めるボルトン氏は当然のことながら、日米韓の軍事協力システムのメンツが潰れるのを
見たいとは思っていない。同氏は今回の訪問で米政府が片時も忘れることのないアジア太平洋戦略を売り込むことだろう。
朝鮮半島情勢の急変を予期させて日韓の安全保障関係が緊密化するための「調味料」を加え、
これら盟友に米国の地域戦略における重責を担い続けさせることを排除しない。
ただし問題は、米国が「アメリカ・ファースト」を掲げる中、日韓はまだ何のうま味も味わっていないという点だ。
米国は米軍駐留経費をめぐって日韓の負担拡大を要求したり、安全保障条約への不満を口にしたりしてきた。
国内の民意や内閣支持率、国家イメージなどへの配慮に直面する日韓の現在の心情を考えると、
米政府が描くアジア太平洋戦略の絵が魅力的であっても鑑賞する気にはなれないだろう。
https://news.nifty.com/article/world/china/12181-731464/