ヤコブ病、発症抑制の仕組みを解明 長崎大の石橋准教授ら 試薬投与で免疫機能活性化 マウス実験、人間への応用期待
2019/7/22 11:00
治療法が確立されていない「クロイツフェルト・ヤコブ病」の発症を抑制するメカニズムを、長崎大の石橋大輔准教授(免疫学)らの研究グループがマウスによる実験で突き止めた。
研究用の試薬を投与することで体内の免疫機能が活性化し、病原体「異常プリオン」の感染力が低下することを確認。将来的に人間への応用も期待される。
人間や動物の体内では病原体が侵入した際に異物を感知するセンサーが働き、インターフェロン(IFN)が生み出される。
IFNは免疫機能を発揮させるスイッチの役割を果たし、それによって体内で生み出された別のタンパク質が病原体の活動を抑える。
ヤコブ病の原因となる異常プリオンは、IFNを生み出す機能を低下させる。このため、発症を抑制するタンパク質ができにくい状態となるという。
そこで研究グループは、人間には投与できないものの、IFNと同じ効果がある試薬に着目。
マウスを病原体に感染させた上で、試薬を投与したグループとしなかったグループで比較したところ、投与したグループは平均で15日間長く生きた。
マウスが発症すれば2週間程度で死ぬことはこれまでの研究で分かっており、試薬の投与で発症を2週間ほど遅らせることができたとした。
この日数は人間の寿命に当てはめると2年分に相当するという。
ただ、発症前しか効果は確認されず、発症前に感染の有無を診断する手法の確立が前提となる。
https://www.nishinippon.co.jp/sp/item/n/528794/