政府に対する市民のデモが激化する中、優秀なことで知られる香港の警察が、自信の喪失、
リーダーシップの欠如という危機に直面している。
ロイターが取材した現役の警官、退職した元警官、政治家、セキュリティ問題の専門家は、
香港警察が場当たり的な意志決定、現場の士気低下や怒りなどの問題に悩んでいると警告する。
前線の警官は、人気がない香港行政府に対する市民らの怒りを目の当たりにしている。
「現場レベルは当惑し、混乱している」──。
今もかつての同僚と交流がある元警察官はこう話す。
「大事なときにリーダーシップが欠如しているのは明らかで、政府からの十分な支援がないと感じている。
それが指揮官レベルに影響を与えている」
ロイターは香港警察に確認を求めたが、警官の士気低下などについて直接的な回答はなく、
「暴力的な抗議行動により、法の支配が深刻に損なわれている」、
「香港の法律を守る使命を負う警察は、公共の安全と秩序を維持するため、断固として最前線に立つ」とした。
抗議活動の現場で「政府の顔」となる警察は、市民の怒りのターゲットになりやすい。
しかし、デモの参加者によれば、警察はこれまでも過剰な暴力を振るい、高圧的な監視手法を駆使しているという。
英国は1997年、抗議する権利を含めた幅広い自由と自治の維持が保障されることを条件に、世界の一大金融ハブである香港を中国に返還した。
香港では犯罪容疑者を中国本土に引き渡すことを認める条例案をきっかけに、先月発生した大規模な抗議行動は、ほぼ毎日行われるデモへと発展している。
香港行政府は条例案をもはや「死んだ」としているが、活動家たちは正式に廃案するよう要求を続け、警察の行動に対する第三者による調査、民主改革、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官の辞任を求めている。
https://jp.reuters.com/article/hongkong-extradition-police-idJPKCN1UE06Y