ロシアとの対立が続くウクライナで21日、最高会議(議会、定数450)選挙の投票が実施された。
出口調査によると、5月に就任したゼレンスキー大統領の新党「国民の奉仕者」が4割超を得票し、
現有議席ゼロから第1党になるのが確実となった。単独で過半数の議席を得られるかは見通せず、
少数政党と連立協議に入る可能性がある。
ゼレンスキー氏は親欧米路線を堅持しつつ、東部で続く親ロ派武装勢力との紛争解決へロシアと
対話する姿勢をみせる。既存政治からの脱却を掲げて4月の大統領選でポロシェンコ前大統領に
圧勝した。
21日夜にキエフで勝利宣言し、「優先課題は停戦と捕虜の帰還、汚職に打ち勝つことだ」と訴えた。
議会で政権基盤を固め、対ロ交渉や経済改革を急ぐ考えだ。
同日発表されたキエフ国際社会学研究所などの合同出口調査によると、「国民の奉仕者」の得票率は
44.2%で、親ロ派の「野党プラットフォーム―生活党」が11.4%で続く。ポロシェンコ前大統領の
「欧州連帯」が8.8%、ティモシェンコ元首相の「祖国」が7.4%にとどまるなど既存政党は振るわなかった。
比例代表で5党が議席を獲得する見通しだ。
議会は一院制で比例代表で225人、小選挙区でロシアや親ロ派が実効支配する地域の選挙区を除いて
199人を選出する。小選挙区では無名の新人候補を集めた「国民の奉仕者」の議席数が伸びない
可能性が指摘され、単独過半数に届くかどうかは予断を許さない。投票率は約50%だった。
ゼレンスキー氏は21日に「古い勢力とは連立を組まない」と述べた。人気歌手が立ち上げた
新党「声」との連立に前向きな立場を表明した。開票結果を見きわめながら、連立を探るとみられる。
議会で「欧州連帯」など既存政党との対立を避けられるかも、新政権の政策の行方を左右しそうだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47610830S9A720C1EAF000/