与党と最大野党が議席を分け合ってきた参院選茨城選挙区の「指定席」の構図は、旧民進党の分裂後初めて行われた今回の改選でも揺るがなかった。
「(初当選した)前回より1票でも多く取るという気持ちで臨んだ」
自民党現職の上月良祐氏は21日夜、当選が確実になったことを受け、選挙戦をこう振り返った。立憲民主党新人の小沼巧氏は「県民の皆さまに鍛えていただいた」と語った。
ただ、「1票でも多く取る」「鍛えられた」と胸を張るほどの骨太の論戦が与野党間で交わされたとは思えない。
上月氏は、主要野党に対して「反対ばかり」「他の党の批判だけしかしない」と矛先を向け、自公政権による安定した政治の継続を訴えた。
その批判は一面の真実を突いていたにしても、上月氏自身が何を目指しているかの説明は曖昧なままだった。
「現場第一」「つながり」「情熱」…。具体性に欠ける街頭演説は改選複数区ゆえの緊張感のなさの象徴に映った。
選挙戦を振り返って記者団に語った「初めてひとり暮らしをしたときのような気持ち」という言葉も、弛緩(しかん)した印象を際立たせた。
そもそも、候補者を上月氏1人に絞った党県連の判断自体、党勢拡大に向けた「本気度」に疑問符がつく。
保守王国と呼ばれる土地柄で、なおかつ野党候補の人選が出遅れていた今回の改選は、2議席独占の好機だったはずだ。
https://www.sankei.com/politics/news/190722/plt1907220011-n1.html