初の輸出日本茶は「さしま茶」だった 官民調査
境町、麗澤大学、さしま茶協会などが協力し、県西地域特産の「さしま茶」が日本茶として初めて輸出されたとする史実を証明する調査をまとめた。
さしま茶は茶商・中山元成(坂東市)によって1859年に米国に輸出されたと伝えられてきたが、これまで本格的に調べられたことはなかった。
同協会の石山嘉之会長は「諸説乱立を防ぐためにも、輸出ルートや上陸の日がきちんと立証できたのは大きい」と説明。調査研究結果は、来秋、横浜市開港記念会館に展示発表する考えだ。
さしま茶は、境町をはじめ、古河市、坂東市、常総市、八千代町の3市2町で生産される特産品で、麗澤大学の櫻井良樹教授が3回渡米し、元成が残した史料や当時の米国商会の記録などを約2年間にわたってつぶさに調べた。
同教授は、東大が所蔵する茶輸出に関する売り荷の控えから、1859(安政6)年10月に米国・ウォルシュ商会の横浜駐在員だったジョージ・ロジャーズ・ホール(G・R・ホール)に、仲買人を通してさしま茶の大規模な販売を行っていたことを発見。
そして、お茶の送り状がハーバード大学に保存されていることを見つけ出した。
これらの古文書を基に、さしま茶輸出ルートを解明。1860年2月9日にウォルシュ商会の船舶「プリンセスシャルロット号」に「江戸ウーロン茶」としてさしま茶を搭載
。横浜港から上海経由でニューヨークに向け出航した。上海で米国の貿易会社・ラッセル商会の「ウラニア号」に載せ替えて出船。
横浜港から出発して半年後の8月10日には、米国の新聞が江戸ウーロン茶の国内販売開始を報じていた。
同年10月には、米国のマスコミ各紙が「日本からわが国に届いた初めてかつ唯一の上質なお茶」「中国茶とは違う香り高さと品質」と伝えるなど人気を博し、日米両国の茶商が、さしま茶(日本茶)を品質の高い信頼できるブランドとして売り込み、売り出そうとしていたこともうかがえる。
今回、立証された「日本で最初に米国に輸出された日本茶」という歴史は、さしま茶のブランド力を高める重要なツールといえる。
石山製茶工場(境町大歩)を営む石山会長は「29人の各会員が歴史を活用しながら自社の製品・お茶と絡めてPRできるかが大切。今後、協会としても、さしま茶のブランド力向上へ向けPRに注力していきたい」と話した。(小室雅一)
https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15633619336369
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