(続き)
 故に、韓国が「西方世界」の信条に則して不誠実な振る舞いに走るならば、「西方
世界」における韓国の資格を問いただし、その交流から得る便益や声望を消すことが、
日本の対応の眼目になるであろう。戦時労働者案件の徴用工問題も日韓合意に基づき
韓国で設立された慰安婦支援の「和解・癒やし財団」解散も、日本に対する「挑発」
というよりは、「国際法の順守」を一つのセグメントとする「西方世界」の信条に
対する挑戦と説明されるべきである。先々の展開によっては、これは、「西方世界」
の信条への挑戦という意味において、「ロシアのクリミア併合」並みの所業と説明
されても佳(よ)いかもしれない。

 こうしたことは、「西方世界」幹事会としての先進7カ国(G7)首脳会議でも、
議論の俎上に載せるのがふさわしい。第二次世界大戦後、韓国が北朝鮮と道のりを
異にした所以は、「西方世界」との縁にある。その縁こそが問い直されるべきである。
 従来、安倍晋三内閣の対外政策がうまく回っていたのは、「日本だけが突出して
何かをしたわけではない」という姿勢を徹底させていたからである。此度の措置発動
や今後の展開に際して、その成否は、「日本から報復された…」という韓国世論の
激高とは裏腹に、「日本だけが突出して何かをしたわけではない」という論理構成を
厳守できるかに懸かっている。
https://special.sankei.com/f/seiron/article/20190717/0001.html