プーチン氏の後任はボディーガード?(The Economist)
The Economist
2019/6/25 2:00

(中略)
政治家とその警護にあたる人物が信頼関係を築くのは珍しくない。
だがプーチン氏のロシア連邦警護庁(FSO)の警護員たちとの関係は、
他の政治家とボディーガードのそれより近い。
2016年以降、同氏は自身の護衛を務めた警護責任者4人を州知事に任命した。
通常なら決して目立たない存在だが、注目を集める政治家へと、華麗なる転身を遂げさせたのだ。
さらにもう1人の警護責任者を16年に新設した国家親衛隊の司令官にも指名した。

ジューミン氏はその後、13年に国防省幹部に登用され、特殊部隊の指揮を執るようになり、
14年のクリミア併合を主導したといわれる。
16年には、モスクワ南部の軍事産業が盛んなトゥーラ州の知事に就任した。

ジューミン氏
https://i.imgur.com/AFqBdCw.jpg

■プーチン大統領の任期は2024年5月まで

プーチン氏の警護員たちが登用されるようになったのは、ロシア政府の優先事項が変わったことを反映している。
すなわち、当初はプーチン氏を守るのが狙いだったが、同氏が築き上げたシステムの長期維持が
優先課題になったということだ。憲法が許す大統領としての最後の任期が終わりに近づくに従い、
ポスト・プーチン時代の到来が現実味を帯びつつある。

プーチン氏は世代交代を進めるべく、高齢の側近らを新たな幹部と入れ替えようとしてきた。
旧ソ連時代は共産党や共産主義青年同盟(コムソモール)が有能な人材を発掘し、
彼らを「テクノクラート」と呼ぶ専門知識を持つ官僚に育成し、地方や省庁のトップに抜てきしていた。
だが現在の政府組織では優秀な人材を昇進させていく仕組みがないことから、プーチン氏は
有能な人材を発掘するためにリーダーシップを競う全国大会を立ち上げ、開催してきた。

しかし、プーチン氏が今も最も信頼を置いているのは、自身がよく知る人物だ。
ロシアの最高指導者になって20年近くたつ今、最もよく知る人物とはすなわち、
日常的にプーチン氏のそばにいる警護員であることが多い。
(略)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46490180U9A620C1TCR000/