山口5人殺害事件で最高裁弁論 責任能力の有無巡り双方主張

山口県周南市で6年前、男女5人を殺害したとして、1審と2審で死刑を言い渡された被告の裁判が最高裁判所で開かれ、被告側は、
責任能力が十分ではなかったとして死刑は避けるべきだと主張したのに対し、検察は上告を退けるよう求めました。

山口県周南市の無職、保見光成被告(69)は平成25年7月、同じ集落に住む男女5人を木の棒で殴って殺害し、住宅2棟を全焼させたとして、殺人と放火の罪に問われています。

裁判で、被告の弁護士は、妄想にとらわれる障害があり、責任能力が十分ではなかったと主張しましたが、1審の山口地方裁判所と2審の広島高等裁判所は
「妄想は動機に影響したが、犯行の実行は、本人の人格に基づいて選択し、完全に責任能力があった」などとして、死刑を言い渡し、被告側が上告していました。

17日に最高裁判所で開かれた弁論で、弁護士は「1審と2審は『妄想性障害』の著しい影響を軽視し、判断を誤っている」として、死刑を避けるべきだと主張しました。

一方、検察は「判決は医師の鑑定を正しく理解して判断されている」として、上告を退け、死刑を維持するよう求めました。

遺族「死刑回避は納得できない」
弁論を傍聴した遺族3人が、東京 霞が関で会見を開き、「住民をあれだけ残虐に殺しているのに、妄想性障害を理由に死刑が回避されれば、残された人間としては納得できない。
事件の後、村人たちが被告を村八分にしたとか、村人が悪かったと言われたことが本当に嫌で、つらかった。死刑判決を望みます」などと話しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190617/k10011955931000.html