「私が殺した?」
2011年4月29日――。朝、ふと目が覚めたら外が明るくなっていました。時計をみると6時過ぎ。夫(当時42歳)は7時には家を出て、成田空港からシンガポールへ向かう予定です。しかし家のなかは静まり返っており、起きている気配がありません。
私は慌てて飛び起き、夫の寝室に向かって、「早く起きて〜。遅れる!!」と叫びながら部屋に入りました。しかし、夫はすやすや眠ったまま。「早く!」ともう一度叫びながら、起きない夫に近づいていきました。なんだか様子が違います。
そのとき、夫の腕がふとんからだらりと出ているのに気づきました。腕の内側に内出血のような痣が見えました。「あっ死斑だ!」「死んでいる!」と、とっさに思いました。これまで知識はあっても実際には見たことがないのに、なぜかそれが「死斑」だとすぐに分かったのです。
死んでいることは分かったものの、なぜ死んでいるのか。頭が混乱しました。前の晩、私はとても疲れており、夫が帰宅してしばらくしてから、別の部屋で先に寝てしまいました。夫が何時に寝たのかは分かりませんが、少なくとも夫が帰宅した時の様子は普段と変わりませんでした。
静かに横になっている夫を見て、咄嗟に「私が殺した?」と考えました。
「いや、ありえない。私は先に寝たから」
「じゃあ、私が作った昼のお弁当が原因?」
「お腹を壊すことはあっても、死ぬはずないな」
などと、自問自答を繰り返しました。
今思えば、目からの情報で状況は把握していたものの、脳がちゃんと理解していなかったに違いありません。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57814
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