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【5月30日 AFP】米アラスカ州の沖合480キロのベーリング海(Bering Sea)に浮かぶ離島セントポール島(St Paul Island)で、鮮やかな色のくちばしとふさふさした飾り羽が特徴の海鳥、エトピリカが大量死する現象が起きている。
2016年秋、今まで見たことのないほど多数のエトピリカの死骸が浜辺に打ち上げられるようになったとき、島の先住民アレウト(Aleut)たちは鳥インフルエンザの発生を疑った。
だが、アラスカ本土の研究施設で調査した結果、鳥たちに病気の痕跡は一切見つからず、餓死だったことが判明した。
29日に米オンライン科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に掲載された論文によると、米ワシントン大学(University of Washington)とセントポール島の生態系保全事務所などでつくる研究チームは、
2016年10月〜17年2月にエトピリカ数千羽がセントポール島で死んだ現象について、気候変動によって海洋生態系が深刻な打撃を受ける中で増加しつつある大量死の一つだと結論付けた。
論文によると、地元住民が回収したエトピリカの死骸は350羽だけだったが、実際は3150〜8500羽が餓死したとみられる。死んだのはほとんどがエトピリカで、中にはエトロフウミスズメも含まれていたという。
研究チームは、2014年以降の大気温の上昇と冬季の海氷縮小により、ベーリング海ではエネルギー価の高い餌となる生物が減少したと指摘している。
セントポール島に打ち上げられた鳥の死骸について、論文の共同執筆者ジュリア・パリシュ(Julia Parrish)氏は「(体内に)脂肪は全くなく、筋肉組織は文字通り崩壊していた」とAFPに語った。
科学者らによれば、アラスカでは世界平均の2倍の速さで気温が上昇し続けており、今年の最高気温もすでに深刻なレベルに達している。
研究チームはまた、死んだ鳥の大半が換羽期に入っていたことも発見した。エトピリカは通常、羽毛の生え替わる時期には西方や南方の餌の豊富な海域に「渡り」を済ませているはずだという。
「つまり、これらは鳥たちが十分に餌を取れず、渡りの時期が遅れ、まさに『ガス欠』状態に陥ったことを示唆している」とパリシュ氏は述べた。
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