政府の中央防災会議(会長・安倍晋三首相)は31日、南海トラフ地震の想定死者数を23万1千人とする最新の試算を公表した。建物の耐震化の進展などを
加味して2013年試算より3割減少したが、10年間で8割減らすという目標にはペースが追いついていない。東西に広がる震源域の片側で大地震がある「半割れ」が
発生した際、残る側で「事前避難」などの警戒措置をとることを基本計画に初めて明記した。
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安倍首相は「被害に遭う人を一人でも少なくしていくことが、私たちの役割であり使命だ」と強調。「さらなる防災、減災対策の充実、強化を着実に推進してほしい」と
指示した。
南海トラフ地震を巡って、政府は13年に最大32万3千人が死亡し、238万6千棟が全壊するとの被害想定を公表した。国は14年3月に防災対策や応急活動の
もととなる防災対策推進基本計画をまとめ、死者数を10年間で8割減らすなどの目標を掲げた。
政府は建物の耐震化や津波避難訓練の実施割合、避難ビルを指定している市町村の割合などを踏まえ、最新の人口に基づいて被害想定を再計算した。
建物の全壊棟数は209万4千棟と5年間で12%減ったが、10年間で50%減という目標からは死者数と同じく隔たりがある。
建物や資産の直接被害額は当初想定の169兆5千億円から171兆6千億円に増えた。近年の資材価格の高騰などが影響した。人的被害が減ったことで
生産やサービスなどの間接被害額は44兆7千億円から36兆2千億円に減った。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45499510R30C19A5MM0000/