NECは5月27日、人工知能(AI)を活用した創薬事業に参入すると発表した。
6月下旬の株主総会で電機事業などに限っている定款を変更し、創薬に本格的に取り組めるようにする。

第1弾としてフランスのバイオ企業、トランスジーンと組んでがんワクチンを開発する。
がん細胞をAIで解析し、患者ごとに最も効果のある薬を作れるようにするという。
手間のかかるゲノム解析をAIに任せることで、薬の開発期間を大幅に短縮し、オーダーメードの治療を可能にする。
米英仏で治験を実施し、当局による承認を目指す。

創薬事業の売上高や利益の目標は明らかにしなかったが同日、都内で記者会見したNECの藤川修執行役員は
「2025年に創薬事業を売却したと仮定して、3000億円の値段が付く事業価値を創造する」と意気込んだ。

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NECの連結売上高は2018年度に2兆9134億円と、ピークだった2000年度の半分近くまで落ち込んだ。
この間、半導体やパソコン、携帯電話事業などから撤退する一方で新規の成長事業を開拓できず、20年近くにわたり縮小均衡を続けた。
今回、定款に電機事業などと並び創薬事業を加えることは、同事業に対するNECの期待の高さをうかがわせる。

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