新潟市出身の作家、坂口安吾が終戦直後、当時、新潟日報の社長を務めていた兄に宛てた手紙が半世紀ぶりに見つかりました。
手紙には「混乱、動乱を怖れてはならぬ」などと書かれていて、終戦直後の混乱を受け止めてそれを乗り越えねばならないという安吾の覚悟や考え方が示されています。

今回見つかった手紙は、坂口安吾が終戦直後の昭和20年9月、当時住んでいた東京・蒲田から、新潟日報の社長を務めていた兄の坂口献吉に宛てて書かれた手紙3通です。
これらの手紙は、昭和46年に出版された安吾の全集に記載されましたが、出版のあと現物の行方がわからなくなっていました。
しかし、最近になって都内の古書店がオークションで落札し、その後、新潟日報が入手したということです。
このうち、昭和20年9月8日の消印がある手紙には「最大の眼目を率直に申上げますと、混乱、動乱を怖れてはならぬ、といふことです」と書かれています。
そのうえで「この敗戦を最大の教訓として眞に新に、眞に光輝ある出発をなすために当然起るべき混乱は廻避せず、当然あるべき波濤を率直に迎へて、之を誤魔化すことなく、眞
実の力を以て一つづつ乗り越えて建設しなければならぬ」などと、終戦直後の混乱を受け止めてそれを乗り越えねばならないという安吾の覚悟や考え方が示されています。
今回見つかった手紙について、安吾の長男で「安吾風の館」の館長の坂口綱男さんは「安吾の理想としている考え方が文章から見えてくる」と話していました。
今回見つかった手紙は、この秋にも一般公開されることになっています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20190523/1030007844.html