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3月26日、名古屋地方裁判所岡崎支部が下した無罪判決が波紋を呼んでいる。
中学校2年生のころから、娘と性交していた父親が「準強制性交等罪」に問われたにも関わらず、無罪となったのだ。
判決文からは、彼女の5年間がいかに「地獄」だったかということがうかがえる。
被害女性の美羽さん(仮名)は、実父と実母、弟3人との6人暮らし。
実父による性的行為は、中学二年から始まった。
美羽さんが寝ていると実父がやってきて、<陰部や胸を触ったり、口腔性交を行ったりするようになり、
その年の冬頃から性交を行うようになった>(< >内は判決文の要約)という。
美羽さんが高校を卒業するまで、こうした行為は週に1〜2回程度の頻度で行われ、美羽さんは<体をよじったり、服をぬがされないように押さえたり、
「やめて」と声を出したりするなどして抵抗していた>が、実父の行為は制止できなかった。
本来ならば、助けを求められるはずの実母とも不仲だった。
美羽さんが小学校の頃、実父は美羽さんを、殴ったり蹴ったりすることがあったが、実母は、<ほとんど黙って見ているか、実父に加担していた>という。
美羽さんが高校3年生のとき、自分で4年制大学へ進学することを決め、大学の推薦入試に合格。
しかし、期日までに入学金を収められず、進学を断念した。
一家は2010年から生活保護を受けていたことから、子ども4人抱えての暮らしは厳しかったことがうかがえる。
それでも美羽さんは諦めなかった。進学に反対する両親に頼み、
専門学校に入学。学費はいったん実父が支払い、美羽さんのアルバイト代から月4万円ずつ返済するよう取り決めた。
だが、このころから美羽さんの抵抗が弱まり、性行為の頻度が週に3〜4回と増えるようになったという。
実父に「専門学校の学費を支払ってやっている」などと言われていたことの負い目が、あったからだとみられている。
それでも、実父からの虐待に耐えかねた美羽さんは、友人や弟らに被害を相談。
「警察に行ったほうがいい」と勧められたが、<父親が逮捕されると弟らが犯罪者の息子になってしまい、
生活できなくなってしまうことが心配>といって、通報を断念する。