日本一の源泉数と湯量を誇る大分県の別府温泉郷。

実はここ、45度を超すような「熱湯」を好む常連が集まる場でもあった。ある男性(82)は「水を足せば、痛みが和ら
ぐ温泉の効能も薄まってしまう」。子どもの頃から通う別の男性(88)は「熱いのが温泉。俺たちは熱いのを我慢して
入りながら温泉を覚えた」とむしろ誇らしげだ。

ただ、子どもや若者らの中には熱い湯が苦手な向きも多い。金沢市から初めて別府に来た男性(43)は「修行のよ
うに熱い」と苦笑。「熱すぎて足もつけられない」「水を入れたらにらまれた」という声も市や施設に寄せられていた。

市によると、両派の溝は埋まらず、にらみ合いが口げんかに発展することもしばしば。そこでコンクリート製タイル張
りの仕切り板による「2槽化」の導入が決まった。思い切って1カ月休業。390万円をかけて浴槽を2槽に分けた。

ここを含め、5カ所の市営温泉が「熱湯」「ぬる湯」に浴槽を分けている。だが、2槽化は広い浴槽でなければ難しく、
残りの温泉で計画している所はない。

https://www.asahi.com/articles/ASM4L4VDGM4LTPJB00G.html?iref=comtop_list_nat_n03