スルガ銀、旧体制と決別遅れ…再建足かせ 顧客離れも続く
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スルガ銀行本店=静岡県沼津市(飯田耕司撮影)
スルガ銀行は15日、新生銀行などと業務提携を発表したが、出資を伴う資本提携には踏み込まなかった。スルガ銀株の約13%を握る創業家側が株式売却に応じず、提携先にその受け皿になってもらうとの構想自体が揺らいでいる。
旧体制との決別が遅れ企業統治の正常化が不透明になるだけでなく、不正融資問題で傷ついた信用力の補完や財務体質の改善がつまずき経営再建の足かせになりそうだ。
【写真で見る】記者会見の冒頭、一礼するスルガ銀行の有国三知男社長
スルガ銀の有国三知男社長は静岡県内で開いた記者会見で「資本提携については検討してもらう可能性はあるが、今回はあくまで業務提携まで」と説明した。
株式売却の条件で創業家側と折り合えず、当初は資本・業務提携まで踏み込むとみられていた新生銀との交渉に影響した可能性がある。スポンサー探しが難航する中、今後は自社株買いでの株式取得も検討する。
岡野光喜前会長ら創業家側におもねる過度な営業実績主義は不正融資の温床になったとされ、企業統治の回復は再建のカギを握る。
この日公表した投資用不動産向け融資の調査でも、アパートローンなどシェアハウス融資にとどまらない幅広い案件で不正行為が横行していた。これまで収益の柱だった投資用不動産向け融資は、金融庁の業務停止処分が解けたのを受け今月下旬から再開する予定だが、以前のような前のめりの営業は難しく、企業風土の改革が避けられない。
一方、スルガ銀は今年1〜3月だけで預金残高が630億円減少するなど不正融資問題を受けた顧客離れが依然続いている。「資金繰りは十分な水準を確保できている」(有国氏)というものの、再建には財務基盤の強化が欠かせない。
ただ、スポンサー候補の筆頭となる新生銀は1998年に破綻した日本長期信用銀行を前身に持ち、公的資金約3500億円の返済めどが立たないなど他の大手銀行と比べ経営基盤は弱い。
同じく業務提携したノジマは既に5%弱のスルガ銀株を取得したとみられるが、異業種の銀行救済を困難視する向きもある。“縁談”が今後も難航した場合、信用補完に向けた新たな提携話が浮上する可能性もある。