世界が反民主主義化しているのではなく反自由化しているのだとすれば、おのずと課題も変わってくる。

 民主主義が衰退しているのだとすれば、それを再生するため、「政治に熱心な人を増やすこと」が必要になる。
しかし、移民など少数者の排除が進み、異なる意見の排撃が相次ぐ現状は、政治に熱心すぎる人の増加を意味する。

 そのなかにあって重要なことは、むしろ「政治に熱心すぎる人から権利を守ること」になる。
具体的にはリアル空間だけではなくネット空間でもヘイトスピーチを取り締まること、そのための法的基盤を整備すること、メディアの自由を確保すること、政治権力に介入されることなく権利を保護するための司法の独立などがある。

 これらの点で、日本は先進国のなかで取り組みが進んでいるとはいえない。
田原氏は今こそ日本が国際的に民主主義を促進する役割を果たすべきと結論しているが、そうしたハードルの高すぎる課題に手を出す以前に、手遅れになる前に日本国内での反自由化に歯止めをかけることを優先すべきだろう。
これも一つの自国第一主義かもしれないが。


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https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20190511-00125596/