● 働けないと生活できない 大型連休が危機につながる人々

 2019年のゴールデンウイークは、4月27日から5月6日の10日にわたる大型連休となった。旅行などの消費によって、
4月から6月までのGDPが0.2ポイント上昇するという試算もある。大型連休には、予算を必要としない景気対策としてのメリットも期待されている。


 しかし、10連休を喜ぶわけにはいかない人々もいる。たとえば貧困状態の子どもは、学校が休みになると、
給食を食べる機会を失う。連休明け、家族で楽しんだ旅行やレジャーについて語るクラスメートの中で
、肩身の狭い思いをするかもしれない。貧困状態の子どもたちの休暇中の生活は、数年前に比べると注意を向けられやすくなってきたけれども、まだまだ不十分だ。

 子どもたちよりも、さらに忘れられているのは、大型連休が生活や生存の危機につながる大人たちだ。彼ら彼女らは、今回のゴールデンウイークをどう生き延びたのだろうか。

 仙台を拠点に活動する個人加盟の労働組合「仙台けやきユニオン」は、連休中の5月1日と4日、「大人食堂」を開催した。
時間帯は夕食時の2時間、食事と相談の機会が無料で提供された。対象者は、「18歳から65歳までの労働者および失業者とその家族」である。
とはいえ、高校を中退して働いている16歳の少年や、無年金のため身体に鞭を打って働き続けている72歳の高齢者が訪れたとしても、歓迎されたことだろう。

 仙台けやきユニオン代表の森進生さんは、「大人食堂」を企画した意図について、次のように語る。

 「ゴールデンウイーク中、派遣社員やアルバイトの方が、シフトに入れないという問題が起こるのではないかと考えました」

 実際に「大人食堂」を開催してみると、集まった人々の抱える困難は「お金がない」「働かなきゃいけないのに、働けない」といった単純明快な問題にとどまらなかった。

● 「本当に困っている人」でないと 助けてもらえない社会で良いのか

 「大人食堂」を訪れた人々は、5月1日は3名、4日は10名だった。年齢層は幅広く、男女比では60%が女性だった。中には、森さんたちが当初想定していた
「お金がない」「働けない」という状況にある人々もいた。

 「所持金が1000円しかなくて、この数日、カップ麺しか食べていないという方がいました。この方は就労しているのですが、勤務先までの往復に1200円必要なので、
連休後は仕事を続けられなくなるところだったんです」(森さん)

 この参加者には、連休明けまでの食糧などの緊急支援も行われた。
 問題が顕在化して路上生活者になれば、行政のホームレス支援の対象になる。18歳未満なら、貧困状態の子どもとして支援対象になる。
実際に生活が破綻すれば、生活保護の対象になる可能性がある。しかし公的支援は、顕在化した生活困窮者、言い換えれば「本当に困っている人」に対してもまだまだ不十分だ。

 「来られた方々のほとんどは、非正規雇用でした。今、困っているわけではなくても、不安なので悩みを共有したい、というニーズが多かったです。
宣伝に『なんでも相談』と書いてあるので来てみた、という方もいました」(森さん)https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190510-00201832-diamond-soci