相次ぐ覚醒剤密輸、狙われる青森空港
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/184033
青森空港で2月以降、外国人が大量の覚醒剤を密輸する事件が2件続けて発覚した。
同空港での覚醒剤密輸事件の摘発は開港後初めてで、短期間に相次いだのは異例の事態だ。
税関関係者は、国際線が拡充し多くの外国人が入国しやすい環境になったことが
背景にあると指摘。捜査幹部は「比較的警備態勢の手薄な地方空港が狙われた可能性はある」と話している。
2月26日、オランダ国籍の男女が、南アフリカから韓国・仁川国際空港を経由して青森空港に入国する際、
キャリーバッグの中に覚醒剤2983.552グラムを隠し持っていたとして、青森署などは2人を
覚せい剤取締法違反(共同所持)容疑で逮捕した。
3月24日には同じルートで入国した韓国籍の夫婦が、韓国・仁川国際空港からビジネスバッグの中に
覚醒剤2997.5グラムを入れて密輸したとして、同法違反(営利目的輸入)容疑などで逮捕された。
いずれも税関職員が荷物検査で覚醒剤を見つけた。青森地検は4人を起訴しており、被告らは否認している。
県警によると、2件の被告らは「荷物は南アフリカで知人から預かった」「中身が何かは知らなかった」と
供述し、否認している。2件とも南アフリカへ渡り荷物を受け取った上で韓国から入国している点、
覚醒剤を入れた袋をガムテープで巻き、さらに袋に入れている点が共通している。
押収量はいずれの事件も約3キロ。末端価格は合計約36億円に上る。捜査幹部は
「あれだけの量を個人で持ち込み、売りさばけるわけがない。複数の国が舞台と
なっていることを踏まえると、国際犯罪組織による犯行と考えるのが妥当」と説明する。
県警は過去の事例などから、いずれの被告も犯罪組織とはつながりの薄い「運び屋」とみている。
なぜ青森空港で摘発が相次いだのか。複数の捜査関係者の話を総合すると、
近年、覚醒剤密輸の入り口は成田空港から徐々に国際線のある地方空港に移行している。
こうした傾向は過去にもあったといい、「密輸を狙う犯罪組織は中央で摘発が相次げば地方へ、
地方で捕まればまた中央に、という流れを繰り返している」(税関関係者)という。