羽越新幹線実現へ動き活発化 青森県は慎重
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国が1973年に基本計画に位置付け、青森市と富山市を日本海側経由で結ぶ
「羽越新幹線」。福島市と秋田市を結ぶ「奥羽新幹線」と併せ、近年、
秋田県や山形県が整備実現に向けた動きを活発化させている。
一方、青森県は昨年発足した「関係6県合同プロジェクトチーム」には
加わっているものの、推進の立場を取っていない。
背景には、青森県が北海道新幹線と貨物列車との「青函共用走行区間」
(青函トンネルを含む約82キロ)での高速走行の早期実現を優先課題として
抱えている事情があり、民間を含め、羽越新幹線への「熱」は感じられない。
近年動きを活発化させる秋田、山形両県とは対照的に、
青森県は合同プロジェクトチームには加わっているものの
「あくまで北海道新幹線の高速化が最優先」(青森県担当者)との立場で、
羽越新幹線には「ルート案や経済効果を一緒に勉強していく立場で、推進ではない」(同)と慎重だ。
現状では毎年、羽越新幹線の関係各県・市町村などからなる羽越新幹線建設促進同盟会
(会長・吉村美栄子山形県知事)に約5万円の負担金を支払っているのみ。
県内で羽越新幹線の整備促進に向けた議論はほとんどされたことはなく、
県を含め、自治体、経済団体にも積極的な動きは見られない。
県交通政策課の舩木久義課長代理は青森県の立場、姿勢について
「プロジェクトチームの調査結果、データを見てから判断していく」と語る。
青森地域社会研究所の野里和廣研究員は羽越新幹線について
「東日本大震災を踏まえ、予備的な交通の動脈を確保するという
意味はあるかもしれない」としながらも
「整備に絡み金銭の負担も生じるし、需要面でどうなのか」と費用対効果の面を懸念。
「経済を見ても、商売上での富山、金沢とのつながりはほぼない。
奥羽新幹線によって東京との移動時間が縮まる秋田、山形両県に比べ、
青森県にとって羽越新幹線のメリットは見えづらい」と述べた。