法務局が保管する登記に基づいた地図が実際の土地の所有実態と違ったり、大きくずれたりしている「地図混乱」と呼ばれる状況が大津市の住宅地で長らく続いていました。
その地図がこのほど7年かけて正しく修正され、大津市は、土地の所有者がはっきりせず見合わせていたこの地区の下水道の整備に乗り出すことにしています。
「地図混乱」は、相続や土地開発の際の不適切な不動産登記で土地の所有者が特定できなくなる問題の1つです。
登記に基づいた法務局が保管する地図が、土地の所有実態と違ったり大きくずれたりして、土地利用や公共サービスの提供が滞る問題が生じているケースもあります。
このうちの1つ、大津市北部の住吉台地区では、地区全体で土地の所有者の特定がきわめて難しい状態となっていて、市が道路の補修さえも十分にできない状態になっていました
。
とくに、平成12年の大雨で土砂崩れが起きたあとも復旧工事ができないままとなっていて、住民は地図混乱の解消を国に求めていました。
これを受け、大津地方法務局は現地で測量をし直したうえ、土地の所有関係の聞き取り調査を行うなど、実態に即した登記とそれに基づく地図の修正を7年かけて進め、このほど
実態に即した新たな地図が完成したということです。
これにより、大津市は土地の所有者がはっきりしないため見合わせていたこの地区の下水道の整備に着手することになりました。
住吉台地区の住民、谷川柾義さんは、「感無量です。地図の混乱がなければとても景色のよいすばらしい街なので、若い人が住みに来てほしい」と話しています。
大津市の越市長は、「地図混乱の解消に尽力された住民と法務局に心から敬意を表したい。インフラの整備を確実に進めていく」と話しています。
このほかにも、相続登記などが行われず所有者不明の土地は全国で相次いでいて、政府は、法務局に土地の整理を進める権限を与える対策などを検討しています。
今回の大津市での取り組みは、土地の権利関係が複雑で不明瞭でも法務局が積極的に関与すれば解決の道筋がつくことを示唆する事例として注目されます。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/20190417/2060002440.html