東京農業⼤学・⽣物産業学研究科(北海道網⾛市)、千葉県⽴中央博物館、⾸都⼤学東京・都市環境科学研究科、
NPO 法⼈「森は海の恋人」(宮城県気仙沼市)からなる研究グループが、気仙沼市の河川において
十脚目甲殻類(エビ類)の新種を発見し、国際専門誌 Zootaxaで公表されました。
日本国内で“川えび”と称される淡水性のエビ類のうち、テナガエビ科にはスジエビ属とテナガエビ属が知られています。
これまでに国内の淡水域に生息しているスジエビ属はスジエビ Palaemon paucidens 1 種のみでしたので(外来種を除く)、
この新種は2種目の淡水性スジエビ類となります。分布域が東北や北海道にあることから、
本新種をキタノスジエビ Palaemon septemtrionalis と命名しました。
本研究の成果は、進化的観点、および保全的観点から興味深い発見でもあります。
新種キタノスジエビは地理的に広く分布していますが、少なくとも今回調査した
宮城県気仙沼市周辺の複数の河川では、本新種が生息する河川は限られていました。
つまり、新種キタノスジエビの地域的な分布には、河川環境の性質が関係していることが推察されます。
なぜ、このような分布様式になったかについては、本種の進化的背景も含めて大きな疑問です。
また、現在調査中ですが、この新種は生活史の一時期をやや塩分のある汽⽔域で過ごすため、
河川域の湿地の保全状態との関係も推察されます。したがって、新種キタノスジエビの⽣態特性は、
今後、明らかにしていく意義が大きいと考えています。
全文
http://research-er.jp/articles/view/78566
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