派遣社員に通勤手当が支給されていない問題で、派遣会社大手のパソナが無期雇用に転換した派遣社員に、
通勤手当の支給を開始したのと同時に基本給の時給を減額したことが本紙が入手した同社の内部文書で明らかになった。
他の大手でも同様の動きがある。
派遣社員からは「手当が支給されるのに収入が変わらなかったり減ったりするのは納得できない」と不満の声が出ている。

 企業は通常、正社員には通勤手当を基本給と別に支給しているが、
派遣社員の大半には支給されておらず、厚生労働省は派遣業界に支給を促している。

 パソナの内部ルール「無期派遣従業員 通勤交通費規定」によると、勤続五年を超えるなどで無期雇用に転換する社員には昨年六月から本人が希望した場合、
月一万円を上限に通勤手当の支給を開始。しかし、受給する場合は「一時間あたり六十円を控除した金額を基本賃金とする」と明記。
時給を六十円減らすと定めている。

 この結果、通勤手当をもらっても手取りは減ってしまう人は多い。
例えば時給千五百円で残業一時間(時給25%増)を含め一日九時間働く人の場合、月収(勤務日二十二日)は三十万五千二百五十円。
だが、通勤手当をもらうと、時給が千四百四十円に減り、月収合計は手当含め三十万三千四十円。
二千二百十円下がる計算だ。残業の多い人ほど、時給減が響き手当支給を受けない方が得になる。

 
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