【北京=西見由章】中国の習近平国家主席は21日から26日にかけてイタリア、モナコ、フランスの
欧州3カ国を公式訪問する。イタリアとは、先進7カ国(G7)で初となる中国の巨大経済圏構想
「一帯一路」に関する覚書を交わす方針。米国や欧州連合(EU)が安全保障面で対中警戒を強める中、
習氏は巨額投資や市場開放をテコに欧州各国との関係を強化し、米欧による封じ込めにくさびを
打ち込みたい考えだ。
中国側は、対中接近を強めるイタリアのコンテ政権との間でイタリア北東部トリエステ港への
投資計画を進め、地中海の交通の要衝で国有企業のプレゼンスを高める構えだ。また米国が
欧州諸国に製品排除を求めている通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)などの中国企業と
イタリア側との技術協力も進める。
習氏は20日付のイタリア紙への寄稿で「港湾物流や船舶運輸、エネルギー、電信、医薬」などの
分野で協力を進める考えを示した。
一方、EU欧州委員会は12日に公表した「戦略見解」で、貿易や技術開発分野において中国を
「競争相手」と位置付け、強い警戒感を示した。一帯一路へのコンテ伊政権の前のめりな姿勢に
仏独などが懸念を表明、イタリア国内でも激しい議論を呼んでいる。
https://www.sankei.com/world/news/190320/wor1903200019-n1.html