判決確定の佐久死亡事故 2度目の裁判 一事不再理に当たらず 速度超過は公訴棄却
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佐久市の市道で2015年3月、中学3年の和田樹生さん=当時(15)=を乗用車ではねて死亡させたとして自動車運転処罰法違反(過失致死)罪で有罪判決が確定後、同じ事故を巡り道交法違反(速度超過)罪に問われた男性会社員(46)=北佐久郡御代田町=の判決公判が18日、地裁佐久支部であった。
検察側は懲役3月、罰金20万円を求刑していたが、勝又来未子裁判官は道交法違反罪については公訴棄却、事故とは別に問われた道路運送車両法違反(不正改造)罪は無罪を言い渡した。
公判では、前回判決と今回の起訴内容について、同じ事件を再び裁くことを禁じた「一事不再理」に当たるかが争点となった。
判決は、自動車運転処罰法違反罪を(事故という)一つの時間と場所における事象、道交法違反罪を「一定の時間・場所における行為」とし、両者が別々に起訴可能な「併合罪」との判断を示したが、検察側の主張自体は退けた。
起訴状は、被告が15年3月23日午後10時ごろ、佐久市佐久平駅北の市道を法定の最高速度(60キロ)を36キロ超える時速96キロで乗用車を運転したとしている。
判決は検察側が速度算定の根拠とした防犯カメラについて、車との距離が遠く、動画から距離を算定するのは困難などとして時速90キロ以上は「合理的な疑いが残る」と指摘。
「少なくとも76キロで運転していたことは認められる」とした。
その上で時速76キロでの運転は反則行為に当たり、道交法に基づく通告や反則金納付といった正しい手続きを取っておらず、同法の規定に違反するとして公訴を棄却した。
道路運送車両法違反罪の起訴内容は17年8月、佐久市前山の駐車場で保安基準に適合しない装飾板を乗用車の窓ガラスに装着するなど改造したとした。
判決は、被告の乗用車の窓ガラスと装飾板に6〜29ミリの隙間があることから、不正改造とは言えないとした。
判決について弁護側は「コメントは差し控えたい」。長野地検の干川亜紀次席検事は「判決の詳細を確認していないため、コメントできない」とした。