スポーツ界「自立」とはほど遠く 竹田恒和氏はいつしか「裸の王様」に

3/19(火) 17:17配信

産経新聞


 JOCは1989年、日本体育協会(現日本スポーツ協会)から独立し設立された。国の圧力に屈した形で出場をボイコットした80年モスクワ五輪の
経験がきっかけだった。あれから30年。東京五輪開催を控え、日本スポーツ界は自立どころか、国への依存を強めている。国の選手強化費は19年度、
初めて100億円を突破。JOCもマーケティング活動に力を入るが、自主財源で運営する米国オリンピック委員会とは対照的に、国の支援なしでは選手強化もままならないのが実情だ。

 あるスポーツ関係者は「竹田さんはよくも悪くも何もしない人」と語る。昨年、続出した国内競技団体(NF)の不祥事でも、統括団体であるJOCは
事態収拾へ主体的に動こうとしなかった。NFが守るべき規範としてスポーツ庁が策定を進める「ガバナンスコード」にしても、「官主導で作らざるを
得ない状況を招いたのはスポーツ界自身だ」(政府関係者)。一部では国との結びつきが強い日本スポーツ協会との再統合までささやかれ、新たなトップには現役政治家の名まで挙がる。

 東京五輪の関係者は「竹田さんは悪い人ではないが、何かあったときに対応できない」と指摘する。仏当局の正式捜査開始を受け開かれたわずか
7分間の釈明会見はその最たるものだった。これを機に加速した退任論は「国が見放した」との見方もある。置かれた状況を直視しないまま、続投を前提に定年延長議論を続けたJOCと竹田会長は、気がつけば「裸の王様」となっていた。

 東京五輪が終われば、ここ数年のスポーツ界への追い風は弱まるのは間違いない。次期会長に求められるのは「五輪後のスポーツ界をこうしたい」という明確な設計図と実行力。その先に、いまだ果たせぬ「自立」がある。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190319-00000562-san-spo