【3月17日 AFP】ニュージーランド南島のクライストチャーチ(Christchurch)で15日に発生したモスク(イスラム礼拝所)の銃乱射事件で、
妻を殺害された男性が銃撃犯に対する憎しみはないと述べ、許しこそが前に進む最善の方法だと訴えた。
 事件では、白人至上主義者のブレントン・タラント(Brenton Tarrant)容疑者(28)が信者で満員だった金曜礼拝中のモスク2か所で
銃を乱射し、50人が死亡。ファリド・アフマド(Farid Ahmad)さん(59)の妻、フスナさんも犠牲になった。
 AFPの取材に応じたアフマドさんは、タラント容疑者を「1人の人間として愛すると彼に伝えたい」と語った。また、
タラント容疑者を許せるかとの問いには「もちろんだ。最善なことは許し、寛容であり、愛情と思いやりを持ち、前を向くことだから」と答えた。
 銃撃が始まったモスクで、フスナさんは女性と子どもの礼拝所にいた人たちの避難を手伝った。フスナさんは「早くこっちへ、
急いで」と叫びながら子どもや女性たちを安全な庭に誘導してから、車いすのアフマドさんの無事を確かめようと戻ってきたところを、入り口の手前で撃たれたという。
「妻は自分自身のことは顧みずに、他の人たちの命を救おうと奔走していた」(アフマドさん)
 アフマドさんは、ソーシャルメディアに投稿されたフスナさんの遺体を見せられて、初めてフスナさんの死を知ったという。

https://www.afpbb.com/articles/-/3216197