世界自然遺産の東京・小笠原諸島で採れる黒色のハチミツが、日本では珍しい甘露ハチミツであることが、元大学教授らの調査でわかった。
ミツバチが花の蜜ではなく、樹液を吸うアブラムシなどが出す蜜を集めたもので、地元の養蜂家らは小笠原を代表する特産品としてPRしていく。

甘露ハチミツは色が黒や褐色で、フルーティーな甘さが特徴。
欧州では広く親しまれ、国際機関コーデックス委員会策定の食品規格はハチミツを、花の蜜からできるハチミツと甘露ハチミツの二つに分類する。

一方、日本では、業界団体の全国はちみつ公正取引協議会に甘露ハチミツの規格はなく、輸入品はあるが、ほとんど知られていない。

小笠原産のハチミツは、見た目や味が独特な理由が不明だったが、干場英弘・元玉川大教授(養蜂学)らが甘露ハチミツに似ていると気付いた。
今月、ミネラル分の含有量など国際規格が定める基準を満たすか、「菓子・食品新素材技術センター」(東京)に検査を依頼し、適合した。
同協議会の奥野弘昭専務理事は「国産の甘露ハチミツは聞いたことがない」と話す。

干場さんは「固有種の宝庫で特異な生態系を持つ島と甘露ハチミツの組み合わせは面白く、世界的に注目される。地域資源として守り育ててほしい」と話す。

https://www.yomiuri.co.jp/science/20190312-OYT1T50053/
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