長野県立歴史館(同県千曲市)は1日、記者会見を開き、室町幕府の初代将軍・足利尊氏(1305〜58年)の自筆書状を入手したと発表した。
歴史館によると、尊氏の自筆文書は今回で40点目とみられ、「全国でも数が少なく貴重」としている。
今回見つかったのは、尊氏が信濃国守護として小笠原政宗を再任命した時の書状。時代は室町時代の観応(かんのう)3(1352)年とみられる。
書状には尊氏が好んで使った「青墨」が使われ、筆跡も尊氏自筆の他文書の特徴と一致している。
これまで政宗が信濃国守護だったと直接示す証拠はなかったが、今回初めて見つかった。
また、水にぬれた跡があるなど、東大史料編纂(へんさん)所が所蔵する「小笠原文書」と共通点があり、元々は一緒に保存されていた可能性があるという。
2016年8月、歴史館の村石正行学芸員(47)が京都市の古書店で見つけ、昨年7月に歴史館として約130万円で購入した。古書店が手に入れた経緯は不明。
記者会見で村石学芸員は「青白い『青墨』の花押(かおう)(本人のサイン)を見た瞬間、これは自筆ではと思った。ドキドキした」と発見時を振り返った。
笹本正治館長(67)は「私たちが知らなかった人が守護を任命されており、内容的にも特筆すべき史料」と述べた。
足利尊氏の直筆文書発見 長野県立歴史館、2〜3日に特別公開
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