生活保護受給者への暴行罪で岐阜市職員に有罪 地裁も厳しい判断
担当する生活保護受給者の女性への暴行罪に問われた岐阜市職員に、岐阜地裁が求刑を上回る判決を言い渡した。検察側は略式起訴したが、
岐阜簡裁が「略式不相当」と判断した異例の事案は、公開の法廷でも厳しい判断が示された。
岐阜地裁で、検察側の求刑(罰金五十万円)を上回る懲役六月、執行猶予二年の判決を言い渡された岐阜市生活福祉一課副主査の
高瀬守彦被告(45)=愛知県稲沢市西島中町=は、昨年七月と八月、女性二人に対する強制わいせつ容疑で逮捕された。岐阜区検は
同月、暴行罪で略式起訴した。
略式手続きは公開の法廷ではなく、簡裁で書面審理される。略式命令で科せる刑罰は百万円以下の罰金または科料に限られる。岐阜簡裁は
「略式不相当」とし、その上で、禁錮刑以上の刑罰を科せる地裁で裁判を開くことを判断した。
岐阜地裁によると、二〇一五〜一七年に岐阜簡裁に略式起訴された五千二百四十件のうち、「略式不相当」と「略式不能」とされた事件は
六件(0・1%)。一五〜一七年に岐阜簡裁が地裁での審理が相当と認め、判決が出た事件はないという。この日の判決について、検察関係者は
「懲役刑も十分考えられる事案だった」と話した。
判決を受け、岐阜市は「改めて市職員がこのような重大事件を起こしたことを大変遺憾に思います」とコメントを出した。市によると、
高瀬被告は約七十の生活保護世帯を担当。ケースワーカーとして受給者の生活状況の把握や、就労の指導などに当たっていた。
ケースワーカーは年間計画に従って受給者の自宅を戸別訪問する。単身世帯や母子世帯を異性の担当者が一人で訪れると誤解を
招く恐れがあるとして、市は一月、ケースワーカーに配られるマニュアルに「事情に応じて複数人での対応を適宜行うこと」とする留意点を加えた。
(下條大樹)
http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20190207/CK2019020702000031.html