ロンドン(CNN Business) 欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会は6日、
ドイツのシーメンスとフランスのアルストム両社の鉄道事業部門の統合案を承認しないと発表した。
乗客の安全確保に必要な信号システムや次世代の超高速鉄道開発のコスト増をもたらすなど競争原理を損ねる恐れがあるとの理由を示した。
欧州委のマルグレーテ・ベステアー競争政策担当委員は両社は競争上の深刻な懸念に対応していないと指摘した。
統合計画は2017年9月に発表された。欧州航空機製造大手のエアバスを見本にした鉄道事業版を狙ったもので、
鉄道車両の世界最大手である「中国中車」に対抗する意味合いもあった。
独仏両政府も世界規模で競争出来る資本力を持つ新たな欧州の王者創出につながるとして支持していた。
シーメンスは欧州委の今回の判断について、地域的な利用者の利益保護は中国や米国、
他の諸国と同一の土俵に立つことが出来ないことを意味しないと主張。
アルストムも声明で遺憾の意を表明したものの法的な対抗措置を講じる考えはないと述べた。
両企業の鉄道事業が統合された場合の年間の売上高合計は150億ユーロ以上。
ただ、中国中車が17年に報告した収入の半分をわずかに超える水準となっている。
欧州委の統合の不承認については欧州のための悪しき判断とか、世界の市場を想定していない産業政策などの批判も出ている。
一方で、中国中車は欧州で契約を受注しておらず目立つ脅威にはなっていないとの反論もある。
https://www.cnn.co.jp/business/35132439.html
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