「そんなに伊藤忠が嫌いか」 溝が広がるデサントと伊藤忠
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スポーツアパレル大手のデサントと筆頭株主である伊藤忠商事との対立は、1月31日に伊藤忠がTOB(株式の公開買い付け)を発表したことで新たな局面に入った。
伊藤忠は約200億円を投じて、デサント株の持ち分を現状の約30%から約40%に買い増す。
資本の論理によって圧力をかけるやり方は、当然ながらデサント経営陣の反発を呼ぶ。混迷の度合いは深まるばかりだ。(中略)

伊藤忠の色が薄まった石本体制の5年間は、業績的には文句のつけようがない。
石本が就任する直前の13年3月期と直近の18年3月期を比較すると、
売上高は約1.5倍の1411億円、経常利益は約1.7倍の97億円と大幅に伸びた。

ただし上乗せ分の大半は韓国事業だ。10年に韓国法人社長に就任した取締役の金勳道(50)の手腕によって、
「デサント(DESCENTE)」「ルコックスポルティフ(LE COQ SPORTIF)」がカジュアルファッションとして急成長を遂げた。
15年3月期には韓国の売上高が日本を逆転する。18年3月期の韓国事業の売上高は719億円で、
全体の売上高の5割超、公表されていないが営業利益のほとんどを稼ぎ出していると見られている。

それでも伊藤忠は石本のやり方を不安視する。市場規模が日本の半分以下の韓国にのめり込む姿に、
人気失速を見抜けず過剰在庫を抱えてしまった「マンシングウェア」の失敗と、
営業利益の大半を1つのライセンスブランドに依存してしまったアディダス・ショックを重ねるのだ。韓国事業に頼り切る収益体質は危険だ。
ほとんど利益貢献できていない日本事業、進展が遅い中国事業にもっと注力すべきではないかーー。
小関は再三、石本に訴えてきた。石本は中国を日本、韓国に続く戦略的マーケットに位置付けているものの、伊藤忠側は遅々として進んでいないと批判する。