バブル期の融資を今ごろ「14%の延滞金利」と共に取り立てる銀行のモラル

遠い記憶となったはずのバブルの傷痕が「銀行被害者」を苦しめている。
 マイナス金利で懐具合が苦しくなった銀行は、債務者の納得を得られないまま、「延滞損害金」を加え、バブル期の「傷もの融資」にまで回収の手を広げるようになった。
 不良債権を首尾よく回収すれば「年利14%」という利息を稼げる。低金利時代に大もうけできる「荒業」だ。
 貸した側の責任は棚に上げ、「借りたカネは返せ」と迫り、自宅を差し押さえ、競売に掛ける。
 バブル崩壊で始まった平成。あの時、銀行は反省したのではなかったか。
マイナス金利で収益悪化バブル期の「傷もの融資」に目をつける
「父をだましたりそな銀行は、今度はわが家の財産を身ぐるみ剥がしています」
 横浜の旧家・藤沢均さん(仮名)は、銀行の強引な取り立てに心身すり減らし胃潰瘍から更に重篤な病へと命を切り刻んでいる。
 父の弘之さん(同)の「借金」を毎月230万円ほど、13年間にわたって返済してきた。ところが昨年1月、銀行は「延滞利息を併せ債務34億円を一括返済していただきたい」と求めてきた。
「34億円など一度に払えるわけがない。しかも『借りた』とされる債務は23億円だった。10億円はすでに返済している」。均さんは納得できない。
 これに対し、りそな銀行は「債務残高は13億円、そのほか延滞損害金が21億円ある」と主張する。
 延滞損害金とは、返済が遅れた債務にかかる懲罰的な利息だ。いつの頃からは定かでないが、銀行業界は年利14%と定めている。
 つまり「返せない債務者」から首尾よく取り立てできると、高利貸しのような“収益”が得られる。それがうま味である。
 かつて国税庁は税の滞納に年利14.6%の延滞金利を付けていたが、「低金利のご時世に高すぎる」と納税者から声が上がり、半分に下げ現在は7.3%だ。
 銀行の延滞金利が大きな問題にならなかったのは、必ずしも取る金利ではなかったからだ。銀行は元本回収を重視する。
元本が戻れば、債務者との交渉で延滞金利を免除することが珍しくなかった。
「延滞金利14%をそっくり取るのは世間の支持を得られない、という配慮があったからです」と、大手銀行OBは語る。

https://diamond.jp/articles/-/192230