天皇陛下は28日、4月末の譲位を控え、最後の機会となる見通しの国会開会式に臨席された。
議長席後方に設けられた椅子に座り、衆院議長の式辞を聞いた後、椅子から立ち上がり、時折、
議場を見やりながらゆっくりした口調でお言葉を読み上げられた。
陛下は国事行為として国会の召集詔書を公布しており、国会開会式への臨席は
これに関連するご公務。前立腺がん手術を終えた直後だったため、皇太子さまが
お言葉を代読された平成15年1月以外は毎回、足を運ばれてきた。
国会開会式への臨席の際、陛下は通常は使わない皇居正門(二重橋)からご出発。
全国戦没者追悼式など限られた公務のみに使われるトヨタ・センチュリーロイヤル
の「御料車(ごりょうしゃ)」で国会へ向かわれる。28日は当初は終日、
定例の健康診断の日程が組まれていたが、一部検査を前倒しして国会ご臨席を優先させた。
「重要行事との認識のもと、大切にされてきた公務の1つ」(宮内庁幹部)だ。
国会での陛下のお言葉の骨格は昭和天皇時代と大きく変わらない。ただ、
元年2月、天皇として最初に臨んだ国会では「幾多の苦難を乗り越え、
国民の英知とたゆまない努力により、国民生活の安定と繁栄を実現し、
平和国家として国際社会に名誉ある地位を占めるに至りました」との一文を加えられた。
阪神大震災直後の7年1月には「速やかな救済と復興は現下の急務」と指摘されている。
国会開会式でのお言葉をめぐっては21年、民主党政権下の岡田克也外相(当時)が
「陛下の思いが少しは入ったお言葉がいただけるような工夫を」「ある意味で官僚的対応」
などと注文を付けたこともある。
宮内庁関係者は「政治的中立を踏まえながら、場にふさわしいお言葉を常に吟味されてきた」
と話している。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190128-00000547-san-soci