<社説>学者ら新基地違憲声明 「法治」外れた強権やめよ
安倍晋三政権の強権に直面する沖縄にとって、学問的見地からの心強い味方を得た。
国内の憲法研究者131人が、辺野古新基地建設は違憲だとして反対する声明を発表した。
埋め立ての賛否を問う県民投票の結果が出るまで、工事の中止も求めている。
声明は「新基地建設強行は『基本的人権の尊重』『平和主義』『民主主義』『地方自治』という、日本国憲法の重要な原理を侵害、空洞化するものである」
「政府が強行し続ければ、日本の立憲民主主義に大きな傷を残すことになる」と指摘している。
憲法学者らが辺野古新基地問題で声明を出すのは初めてだ。
工事が強行される現状を見て、研究者の良心に基づき警鐘を鳴らしたと言えよう。
この声明に対し、菅義偉官房長官は「地元市長や知事の了解を得て閣議決定した。まさに憲法の中の手続きをしっかり取った上で実行している」と反論した。
明らかに間違いだ。1999年に県が受け入れた際は「15年使用期限」「軍民共用空港」という条件付きだった。
その後、現行のV字案に変更され、2006年の閣議決定で県の条件は破棄された。
地元の合意を得ようとしない政府の態度は一貫しており、この間、法を逸脱した手続きを繰り返している。
菅官房長官が連呼する「法治国家」が聞いてあきれる。
一連の行為は法治主義から大きく懸け離れている。
沖縄の民意を抑え込むためなら、国家権力は何でもできるとの高圧的な姿勢は、まさに強権国家でしかない。
憲法や行政法の専門家の声を政府は聞き入れるべきだ。
声明は、沖縄県民の人権問題であると同時に、民主主義の観点から「日本国民全体の問題である」とも言及する。
全くその通りだ。辺野古新基地が強行されてしまうと、国家方針に反する地元の声は無視できるというあしき前例になる。
全国でも起こり得ることだ。民主主義を守るためにも、国民がわが事として考える契機になってほしい。
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